大判例

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札幌高等裁判所 昭和26年(う)980号・昭26年(う)979号 判決

偽造公文書行使罪は偽造公文書を真正な文書として事実証明の用に供することによつて成立し同文書が本来の用法に従て使用せられると否とを問わないものと解するを相当とするところ、原判決は起訴事実中被告人等は昭和二十六年五月十九日中川郡幕別町大串食堂に於て偽造に係る荷渡指図書九通を北海道食糧事務所幕別出張所長円藤豊志に対し恰も真正に作成されたものの様に装つて提出行使したとの点は之を認めることが出来るけれども荷渡指図書(厚片)は現物を保管する濃業協同組合に提出すべきものであり食糧事務所に提出すべき物は(薄片)であるから右厚片を食糧事務所に提出することは右文書本来の用法による行使にならないのみならず料亭に同人を招き情を告げる為呈示した形跡もあつて偽造公文書の行使罪としては罪とならないものとして無罪の言渡したことは所論の通りである。しかして訴訟記録及び原審で取調べた証拠に現われた所は政府が雑穀を売渡した場合には北海道食糧事務所分任食糧会計官吏が原判決記載のように荷渡通知書二通(内一通は払出票一通は通知票)及び荷渡指図書一通を一組とする文書(以上三通の記載内容は同一で通知書を薄片、指図書を厚片と云う)を作成する。これはいずれも売渡雑穀を保管している農業協同組合の倉庫に宛て買受人に同書記載の雑穀を引渡すよう指図したものであるが直接同買受人に交付されるのは荷渡指図書であつて荷渡通知書二通は所轄食糧事務所に送付され同事務所では右二通の荷渡通知書の内通知票を更に前記倉庫に転送するのであつて同倉庫では右通知票と買受人の提出する荷渡指図書とを照合して両者符合する時は買受人に対し右指図書と引換に現物を交付するのである。従つて荷渡指図書は雑穀の買受人が現物の引渡を受くる為同所記載の倉庫に提出するのが本来の用法であることは原判決記載のとおりである。しかし被告人等は偽造に係る原判示第四記載の九組の荷渡通知書と同指図書の中荷渡通知書九組を昭和二十六年五月十九日帯広より北海道中川郡幕別町北海道食糧事務所幕別出張所宛に郵送し同日同町大串食堂に於て右幕別出張所長円藤豊志に対し右荷渡指図書九通を真正に作成したものの如く装つて呈示(記録を精査したが原判決記載の如く料亭に同人を招き情を告げる為示した形跡は認められない)したものであつて之は被告人等が恰も同書記載の雑穀を正当に政府より買受けた如く右円藤を欺きやがて同出張所に到着すべき(同月二十一日到着)前記偽造荷渡通知書九組が正規の手続によつて送付されたものの如く誤信せしめ其中の通知票九通同書記載の倉庫に送付させようとしたものであるから円藤豊志に対する前記偽造荷渡指図書九通を呈示したのは冒頭説示の如く偽造公文書行使罪に該当すると解するのが相当である。然るに原判決は之を罪とならないものとして無罪の言渡をしたのは事実を誤認したものと云うべくそれが判決に影響を及ぼすことが明かであるから論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。

(後略)

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